事例で比較!2社・3社間ファクタリングの流れ

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ファクタリングには、2社間と3社間という種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットが異なります。今回は、それぞれの流れについて、事例を見ながら比較をしていきましょう。

  • A社:ファクタリングを利用する会社
  • B社:支払い企業(売掛先企業)
  • ファクタリング会社

2社間ファクタリングの流れ

まずは2社間ファクタリングの流れから見ていきましょう。2社間ファクタリングの場合、当事者となるのはA社とファクタリング会社のみです。金銭のやり取りもこの2社間でのみ行われるため、支払い企業であるB社にその事実が知られることはありません。

【5月31日】商品の販売

A社は大口の取引先であるB社に600万円の商品を販売しました。支払いは請求書となり、入金締切を翌月末の6月30日としました。

給与支払日にキャッシュ不足

A社の給与支払日は毎月25日です。次回は6月25日となりますが、現時点でキャッシュ不足が判明していました。B社に販売した商品の代金600万円があれば問題ありませんが、入金は6月30日。支払いが困難な状況です。

【6月1日】ファクタリング会社と契約

A社は給与支払分のキャッシュ捻出のために、ファクタリングの利用を決めていました。B社への請求書が発行された翌日にファクタリング会社へと足を運び、その場で契約を結びます。内容は、B社への売掛債権600万円の譲渡(ファクタリング)です。

【6月2日】ファクタリング会社から入金

翌日、ファクタリング会社から入金がありました。金額は、売掛債権600万円からファクタリング手数料が引かれた金額です。本来6月30日まで待たなくてはならなかった入金を、約Ⅰカ月早く回収できたことになります。

差し迫った状況であれば即日入金も可

今回の事例では、給与支払日まで25日の余裕があったため、翌日入金が選択されました。しかし、支払いが翌日など差し迫った状況であれば、即日入金に対応してくれるファクタリング会社も少なくありません。このスピード感こそが、2社間ファクタリング最大のメリットです。

【6月25日】給与支払い

ファクタリング会社から入金された600万円があるため、今月の給与支払いは滞りなく完了。6月2日にキャッシュが用意できていたので、事務作業も滞りなく進みました。

【6月30日】B社から入金

請求書の支払期日となり、商品代金600万円がB社からA社へと入金されました。B社はA社がファクタリングを行ったことを知りません。あくまで通常通りの支払いを行っただけです。

ファクタリング会社への支払い

A社は、B社から入金された600万円をファクタリング会社へとそのまま支払いました。これで2社間ファクタリング完了です。

3社間ファクタリングの流れ

次に、3社間ファクタリングの流れです。ここでは、A社とファクタリング会社に加え、支払い企業であるB社がファクタリングを承認するというフローが組み込まれます。ただし、ファクタリング会社の売掛債権回収リスクが下がるため、手数料が2社間ファクタリングに比べ安くなるのが特徴です。

【5月31日】商品の販売

A社はB社に600万円分の商品を販売。請求書を発行し、支払期日を6月30日としました。この時点で、毎月25日にある従業員への給与支払に充てるキャッシュが不足している状況です。

【6月1日】ファクタリング会社へ相談

A社はファクタリング会社へ赴き、3社間ファクタリングの相談をしました。これにより、2社間ファクタリングよりも手数料が大幅に安くなりました。

3社間ファクタリングは2社間に比べて手数料が安い

2社間ファクタリングの手数料は10〜30%が相場です。一方、3社間ファクタリングは1〜15%。多くの場合、3社間ファクタリングのほうがファクタリング手数料を安くできます。

【6月2日】B社に債権譲渡通知を送付

A社はB社に対して、債権譲渡を通知しました。これはつまり、「売掛債権をファクタリング会社に対して譲渡してもよいか?」というお伺いです。B社からは、社内検討した後に承認の可否を決定する旨の連絡を受けました。

【6月9日】B社から債権譲渡を承認される

B社から債権譲渡の承認が通知されます。これによって、3社間ファクタリングの成立がほぼ確定しました。

状況によっては承認までに時間がかかることも

今回の事例では1週間でB社からの承認が得られました。しかし、取引先の考え方や状況次第では、審議に時間がかかってしまう場合もあります。それを踏まえると、ギリギリのタイミングで3社間ファクタリングを利用するのは難しいといえるでしょう。

【6月10日】ファクタリング会社との契約・入金

A社とファクタリング会社との間でファクタリング契約が締結されました。当日に、ファクタリング会社からA社に対して、売掛債権600万円から手数料が差し引かれた金額が入金されました。

【6月25日】給与支払い

A社はファクタリング会社から入金された600万円を使い、給与支払いを行いました。遅配を免れたため、従業員に余計な心配をかけることもありませんでした。

【6月30日】ファクタリング会社がB社から売掛金を回収

請求書の支払期日に、B社はファクタリング会社に対して直接600万円を支払いました。この際、A社が行うことはとくにありません。

まとめ

2社間ファクタリングは入金スピードが大きな魅力です。反面、手数料が高くなってしまうのがデメリットです。一方、3社間ファクタリングは手数料負担の軽減が最大のメリットです。ただし、2社間に比べて入金まで時間がかかることや、債権譲渡を支払い企業に知られてしまう点はデメリットといえるでしょう。ファクタリングを活用する際は、これらのポイントを踏まえて、自社に最適な方法を選んでください。