ファクタリングで実現するオフバランス化

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企業の財務状況を改善するための常套手段といえるのが「オフバランス化」です。売掛債権を売却するファクタリングはオフバランス化の方法としても利用されています。こちらでは、オフバランス化の概要や、ファクタリングによるオフバランス化のイメージについてお話しします。

オフバランス化とは

オフバランス化とは、賃借対照表(バランスシート)から資産・負債を切りはなす取引です。本来、バランスシートには資産を過不足なく記載しなければなりません。オフバランス化では、この資産・負債の一部を会計上の法に抵触しない形で記載しないようにします。

バランスシートは借方の資産と、貸方の負債・純資産で構成されています。資産と負債・純資産の合計は原則としてイコールです。オフバランス化を行うとバランスシート上の資産・負債が減少するため、結果的にバランスシートがスリムになります。

オフバランス化の手法

オフバランス化には以下のような手法があります。

資産売却

オフバランス化の最もシンプルな例が資産の売却です。保有している資産を売却すれば、それだけでバランスシートがスリムになります。

証券化

資産を小口に有価証券に変えて資金を集める証券化も、代表的なオフバランス化の手法のひとつです。とりわけ、不動産など大きな資産をオフバランス化する方法として活用されています。

金融取引

リース取引で導入した設備は、バランスシートに資産として計上しません。先物取引・金利スワップなどの金融派生商品も、決済日まではバランスシートに記載しないという特性があります。こうした金融取引によるオフバランス化も可能です。

オフバランス化のメリット

オフバランス化を行うとバランスシートの資産と負債の額が減少します。経営を長く続けていると無駄な資産が増え、バランスシートにぜい肉がつきがちです。膨れ上がったバランスシートは財務体質や経営効率の点から好ましくないため、定期的にオフバランス化をはじめとしたスリム化を行う必要があります。

また、もうひとつの大きなメリットが、「ROA(純資産利益率)」を改善できる点です。ROAは「利益÷純資産」から算出され、経営効率を評価する指標として参照されています。オフバランス化を行うと総資産における利益の割合が増えてROAが高まり、結果的に外的な評価にも好影響を与えます。

ファクタリングによるオフバランス化

売掛債権は資産のひとつ。そして、売掛債権を売却する方法として利用されているのがファクタリングです。キャッシュフローがショートした際の資金繰り方法として知られているファクタリングですが、オフバランス化の方法としても利用できます。

売掛債権自体は、保有しているだけでは意味がありません。それだけではなく、保有している期間が長くなるほどキャッシュフローの悪化につながり、不渡りリスクも大きくなっていきます。とりわけ支払いサイトが長い場合は、ファクタリングによって早期のうちに売掛債権を現金化し、オフバランス化を図るのが賢明です。借入ではないため、融資のように負債として残ることもありません。

ファクタリングによるオフバランス化のイメージ

ファクタイングによるオフバランス化を理解するために、銀行融資と比較してご紹介しましょう。

A社は1,000万円の売掛債権を保有しており、500万円の資金繰りが必要です。利益が300万円見込まれています。

500万円の資金繰りのために銀行融資を利用した場合、

資産:1,000万円(売掛金)+500万円(預金)=1,500万円

負債・純資産:500万円(短期借入金)+1,000万円(利益剰余金)=1,500万円

つまり、総資産は1,500万円になります。

利益を300万円とすると、ROAは20%です。

対して、売掛金1,000万円のうち500万円をファクタリングで売却すると

資産:500万円(売掛金)+500万円(預金)=1,000万円

負債・純資産:500万円(短期借入金)+500万円(利益剰余金)=1,000万円

このようにバランスシート全体がスリム化されます。

同じく利益を300万円とすると、ROAは30%になります。

これが、ファクタリングによってROAが改善される仕組みです。

オフバランス化すれば資金繰りの選択肢が広がる

ROAは外部からの評価に直結する要素です。特に銀行融資の審査にROAが与える影響は決して小さくありません。ファクタリングによってROAが改善されれば銀行からの評価も高くなり、結果的に融資を受けやすくなることも考えられます。

将来的な銀行融資の利用を検討している場合は、ひとまずファクタリングによってROAを改善しておきましょう。

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オフバランス化は企業の評価を高めるために必要な取引です。金融機関からの評価も改善されるため、将来的な借入を検討している場合はオフバランス化によるバランスシートのスリム化が求められます。オフバランス化にはいくつかの手法がありますが、なかでもファクタリングはハードルが低く、中小企業にとっても利用しやすいため積極的に検討してください。