ファクタリング業者が審査時にチェックする5つのポイント
ファクタリングには、銀行融資などと同じように審査があります。審査の項目は基本的に非公開ですが、一般的に考えられている審査項目を知っておくと通過しやすくなるかもしれません。こちらでは、ファクタリングの代表的な審査項目や、審査通過につながるポイントについてお話しします。ファクタリングの利用を検討している場合は、参考としてお読みください。
ファクタリングの審査項目とは?銀行融資との違いは?
ファクタリングは売掛債権の売却手続きであり、融資とは異なります。しかし、ファクタリング会社にとっては貸し倒れのリスクがあるため、一定基準を設けた審査は必須です。審査に通過しない場合、ファクタリングを利用できません。
以下が一般的なファクタリングにおける審査項目です。
- 申込者本人の人柄
- ファクタリングに対する姿勢
- 売掛先の経営状況・信用度
- 売掛先との継続的な取引の有無
【審査項目】銀行融資との違い
資金調達の必要性を感じた場合、まず選択肢に挙がるのが銀行融資です。ファクタリングと銀行融資は、審査があるという点で共通しています。一方で、「銀行融資よりもファクタリングのほうが審査に通りやすい」という認識が一般的です。
銀行融資の場合、申込者の信用度が主な審査対象となります。対してファクタリングの場合は、売掛債権の実態や売掛先が重点的に審査されます。売掛先が健全な経営状態を保っており、継続的な取引を行っていれば基本的に審査は通過可能です。
ファクタリング審査における5つの重要ポイント
ファクタリング審査において重要視されるポイントをご紹介します。
1. 売掛先の信用度
ファクタリング審査において最重要な項目といえるのが、売掛先の信用度です。売掛先の返済能力、どのような種類の債権なのか、差し押さえの可能性はあるかなど、未回収リスクを念頭において審査が行われます。
具体的には以下のようなポイントが審査されます。
- 信用調査会社(帝国データバンク、東京商工リサーチなど)による信用情報の点数
- 信用情報
- 申し込み会社との取引履歴・取引期間
- 利益額・利益率・フリーキャッシュフロー
- 借入件数、返済履歴
- 自己資本比率
2. 申込者の信用度
売掛先の情報よりも重要度は下がりますが、申込者の信用度調査も行われます。主に、実態がある事業者なのか、契約を締結するうえで信頼に足る申込者なのか、といった点が審査対象です。基本的に申込者の信用度が原因で審査に落ちることはあまりありませんが、不審に思われないように注意しましょう。
以下が代表的な審査ポイントです。
- 資金繰りの状態、キャッシュフローの状態
- 他社借入数
- 税金の滞納の有無
- 受け答え、態度
- 二重譲渡の可能性
- 架空の売掛金である可能性
3. 売掛金の支払いサイト
売掛先から売掛金が入金されるまでの期間を入金サイトと呼びます。入金サイトが長い場合、ファクタリング会社にとっては売掛債権売却額の支払いから入金までの期間が長くなることを意味します。そのため、支払いサイトが長い場合は高リスクとみなされ、審査に落ちるケースが少なくありません。
4. 譲渡登記の可否
ファクタリングはファクタリング会社に売掛金を受け取る権利を譲渡する「債権譲渡」の手続きです。債権譲渡できる権利を契約として残す手続きを、債権譲渡登記と呼びます。2社間ファクタリングは売掛先に通知することなくファクタリングを利用できるのが魅力ですが、債権譲渡登記がない売掛債権を買い取るのはファクタリング会社にとってリスクです。そのため、債権譲渡登記がない売掛債権に関しては、審査に落ちるケースや、手数料が高く設定されるケースがあります。
債権譲渡登記を行うと、売掛先にファクタリングの利用を知られてしまう可能性があります。そのため、2社間ファクタリングの秘匿性が失われてしまうのが難点です。2020年の民法改正により、債権譲渡を制限する債権譲渡禁止特約の強制力が弱まったことにより、2社間ファクタリングの事情は少し変わりつつあります。一方で、債権譲渡登記があったほうが、審査において有利なのは変わりありません。
5. 買取希望額と売上げ規模のバランス
買取希望額が売上げと比較して大きい場合、貸し倒れリスクを懸念され審査に落ちる場合があります。買取希望額が月商の半額以内であれば、審査評価がプラスされるケースがあります。
一方で、買取希望額が低い場合も注意が必要です。買取希望額が低い場合もファクタリング会社の手間や工数は変わらないため、審査に落ちるケースや手数料を高く設定されるケースが考えられます。
***
ファクタリング審査は、今回ご紹介したようなポイントを意識することで通過する確率が高くなります。基本的には売掛先によって決まりますが、申込者側でできることも少なくありません。自社の経営状況だけでは判断されませんので、他のポイントを改善することで審査に有利になるよう心がけましょう。