【比較】ファクタリングとABLの違いとは？どちらを選ぶべき？
ABL（債権担保融資）という手続きをご存じでしょうか。売掛債権をもとに資金が得られるという点ではファクタリングと同じであり、両者はしばしば比較されます。こちらでは、ABLの概要やファクタリングの違いについて詳しくご案内します。資金調達の方法を比較している場合は、参考資料としてお読みください。
ABL（債権担保融資）とは？
ABL（債権担保融資）とは、企業が保有する在庫や売掛債権などを担保として融資を受ける制度です。金融機関がサービスのひとつとして提供しています。在庫を担保する場合、商品のひとつひとつではなく、一定数の集合体に対して担保権を設定するのが特徴です。担保とする対象に応じて、「動産担保融資」「売掛債権担保融資」と呼ばれます。
売掛債権を担保とする場合、ファクタリングと類似した手続きといえるでしょう。ファクタリングとの明確な違いは、「融資である」という点です。
ABLのデメリット
ファクタリングと同じように資金調達の方法として利用されているABLですが、以下のようなデメリットがあります。
過剰担保
在庫を担保にして融資を受ける場合は、評価額が金融機関によって異なる点に注意しなければなりません。とりわけ、評価額が低い場合は契約が不利になります。債権を保全するために必要な基準を超える担保をとられるリスクがあります。
報告の手間
ABLを利用する場合、担保の管理状況に関して定期的な報告が義務付けられます。企業は、そのためのリソースを確保しなければなりません。場合によっては、報告のために社内体制を整えなければならないケースもあります。
倒産の危険性
ABLでは、返済が遅れると担保権が行使されるケースがあります。ベンチャーやスタートアップなど担保力が乏しい状況の場合は、担保権によって倒産に追い込まれることも十分に考えられます。
ABLの基本フロー
ABL利用の際の一般的なフローをご紹介します。
申し込み
まずは、金融機関にABL利用の申し込みを行います。その際に、担保の評価も行われます。評価は、外部の動産評価会社によって行われるケースが一般的です。
譲渡担保差入
対象となる担保を緊急帰還に差入します。
融資・定期報告
金融機関から申込企業に融資が行われます。その後は、担保情報の定期的な報告が必要です。
ファクタリングとABLの違い
ファクタリングとABLは混同されがちですが、細かな違いがあります。代表的な違いについてご案内しましょう。
1. 審査の対象が違う
ABLでも、ファクタリングと同じように審査が行われます。
ファクタリングの場合、審査において重視されるのは主に売掛先です。売掛先の信用情報や事業の実態、売掛債権の金額や支払いサイトなどが確認されます。ファクタリング会社が気にするのは「売掛金が入金されるかどうか」という点のため、申込会社の情報が審査に大きく影響することはありません。
対して、ABLの場合は、担保の提供会社、つまり申込会社の返済能力が細かく調査されます。
2. 担保の対象が違う
担保の対象も、ファクタリングとABLでは異なります。
ファクタリングで現金化できるのは、売掛債権のみです。対して、ABLでは、債権のほか動産も担保の対象となります。ABLで現金化できる独自の動産として、車輛、商品、農畜産物などが挙げられます。
3. 登記の必要性が違う
ファクタリングは、法的には「債権譲渡」に該当する手続きです。債権譲渡登記が必要な場合もありますが、売掛先への通知で対応できるケースも少なくありません。
対して、ABLの場合は登記がほぼ必須です。登記には、司法書士への報酬や登録免許税といったコストがかかります。
ファクタリングとABLは使い分けが重要
ファクタリングとABLは上述したような細かな違いがある手続きです。どちらが優れているとは断言できず、状況に応じて使い分けることが求められます。
資金調達方法としてファクタリングとABLを比較している場合は、ファクタリングの特徴についてもあらためて考えてみましょう。
ファクタリングはスピーディーな資金調達を実現する手続きです。審査も比較的緩く、利用しやすい資金調達方法といえます。デメリットはファクタリング手数料を支払う必要があるため、売掛金が目減りしてしまうことです。
ファクタリングに向いているのは、大口のスポット債権や支払いサイトの長い債券です。こうした債権が多い場合は、ファクタリングを優先的に検討することをおすすめします。
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ファクタリングとABLはそれぞれの性質をしっかりと理解し、使い分けることが重要です。しかし、基本的にはファクタリングのほうが利用しやすく、資金調達の方法としてはおすすめの手続きといえます。「債権譲渡」と「融資」という違いは、とりわけ大きなものです。ファクタリングであれば、借り入れにカウントされないため、信用情報への影響はありません。短期間で債権を現金化できる点も、中小企業や個人事業主にとってはメリットといえるでしょう。