ファクタリングで知っておきたい「リコース・ノンリコース」
ローンの方式として「リコース」と「ノンリコース」の2種があることをご存知でしょうか。日本の金融サービスはリコースが主流ですが、一般的なファクタリングサービスはノンリコースです。こちらでは、リコース・ノンリコースの違いやメリット・デメリットについてお話しします。
リコースとは?
「リコース(Recourse)」とは、「頼ること」「依頼」といった意味の英単語です。ローンにおいては、「さかのぼって請求する権利」を意味します。簡単に言えば、「貸した金額全額の返済を要求する権利」という意味です。
日本でもさまざまなローンにリコースローンが採用されています。銀行融資、住宅ローン、ビジネスローンなどは代表的なリコースローンです。
リコースローンのイメージ
住宅ローンを例にしてリコースローンのイメージを説明します。
3,000万円の不動産をリコースローンで購入しました。その後、不動産を2,000万円で売却。2,000万円を返済に充てたその時点で返済額は500万円残っているとします。リコースローンでは、上述したとおり借りた金額全額の返済義務があるため、残りの500万円を何らかの方法で調達し、返済しなければなりません。
ノンリコースローンとは
「ノンリコースローン」とは、返済責任が担保に限定されるローンのことです。原則として貸した金額全額の返済が求められるリコースローンに対し、ノンリコースローンは全額の返済義務がありません。例としてノンリコースの住宅ローンでは、住宅の売却額のみを返済すればその時点でのローン残債に関わらず返済義務が終了します。
ノンリコースローンは海外の金融サービスでは一般的な方式です。対して、日本のローンではまだあまり例がありません。
ファクタリングは基本的にノンリコース
ファクタリングは日本においてノンリコースローンが採用されている数少ない例のひとつです。万が一売掛先が倒産するなど売掛金を回収できない事態に陥ったとしても、ファクタリング利用会社が支払いを求められることはありません。
ただし、一部のファクタリング会社では契約内容が異なる点には注意が必要です。ファクタリングだからといって無条件でノンリコースとは断定せず、必ず契約内容を確認しましょう。
ファクタリングにおけるリコース・ノンリコースのメリットとデメリット
ファクタリングはほとんどがノンリコースである一方、一部ながらリコースのファクタリングも存在します。両方選択できる場合は以下のような双方のメリット・デメリットを知っておくと判断基準として役立つでしょう。
リコースのメリット・デメリット
リコースでは、売掛先から売掛金を回収できなかった場合は支払い義務をファクタリング利用会社が全面的に負うことになります。そのため、売掛先との関係が良好で信頼度が高いとしても、売掛金が支払われるまでは決して安心できません。反面、ファクタリング会社にとってはどのような形であれ売掛金を回収できる低リスクな方式といえるため、審査基準が甘くなり利用しやすい、手数料が安く設定されることが多いといったメリットがあります。
ノンリコースのメリット・デメリット
ノンリコースファクタリングのメリットは、売掛債権を譲渡した時点でファクタリング利用会社の貸し倒れリスクがなくなる点です。もちろん、そのままではファクタリング会社のリスクが大きくなるため、手数料を高くする、審査基準を厳格にするといった措置でカバーしています。
リコース・ノンリコースどちらのファクタリングを選ぶ?
リコースとノンリコースのファクタリングを選択できる場合、どちらを選ぶべきなのでしょうか? 上述した双方のメリット・デメリットから検証してみましょう。
リコースのファクタリングの場合、万が一の事態では支払い義務がファクタリング利用会社に移ります。そのため、信頼度が高い取引先との売掛債権の売却や、万が一回収できなかった場合も対応可能な資金力があるタイミングで利用するのがおすすめです。また、リコースは手数料が低い傾向があるため、最終的に手元に残る金額を大きくしたい場合も選択肢に入ります。
対して、ノンリコースのファクタリングは支払い義務が自社に移った際にキャッシュフローに大きな痛手が生じ、存続が危ぶまれるようなタイミングの企業に利用されています。とくに、スタートアップの企業などはキャッシュフローに余裕がなく、どの企業とも初めての取引となるためリスキーです。こうした状況では、ノンリコースのファクタリングのほうが適切といえます。
まとめ
日本ではノンリコースのファクタリングが主流ですが、一部リコースのファクタリングを提供しているファクタリング会社も存在します。まずは意図しない契約にならないよう、契約内容を入念に確認してください。企業の状況や売掛先との関係性によっては、リコースファクタリングのほうがメリットが大きい場合もあります。選択できる場合は、双方のメリット・デメリットを鑑み、最適と思われる方式を判断してください。