ファクタリング審査のポイント
ファクタリングを利用する際には通常、ファクタリング会社による審査が行われます。こちらでは、この審査の理由や審査基準となるポイントについてお話しします。
ファクタリングで審査が行われる理由
ファクタリングは原則として原資の範囲を超える返済が求められないノンリコースローンです。万が一貸し倒れが起きた際は、ファクタリング会社が全面的にリスクを被ることになります。ファクタリング会社が利用者の審査を行うのは、利用者の信用度を把握し貸し倒れのリスクを軽減するためです。
審査と手数料の関係
ファクタリングの手数料設定はファクタリング会社によって異なります。料金設定の根拠は会社によってさまざまですが、ひとつの根拠といえるのが審査の厳しさです。
審査が厳しいファクタリング会社は、手数料を安くすることで顧客を募る傾向があります。反面、審査が比較的甘いファクタリング会社では手数料を高く設定することで貸し倒れの際のリスクをカバーしているといえます。
このように、審査の厳しさと手数料設定は相関関係にあるということを覚えておきましょう。
ファクタリングの審査で基準となるポイント
ファクタリング審査での代表的な審査ポイントをご紹介します。
売掛先の実態
ノンリコースのファクタリングにおいてファクタリング会社が最も避けたい事態は貸し倒れです。売掛先からの支払いがなければ、貸し倒れになってしまう可能性があります。そのため、売掛先に対しては通常、入念な審査が行われます。
経営実態の有無
過去には、ペーパーカンパニーや休眠会社を利用し、架空の売掛債権でファクタリングを利用した企業の例もあります。そのため、売掛先が経営を継続している実態ある企業かどうか、そもそも本当に存在している企業なのかどうかが調べられます。
経営状況
売掛先の経営状況が好ましくない場合、ファクタリング会社にとってはリスクです。そのため、帝国データバンクや商工リサーチ、行政機関の登録情報などから売掛先の経営状況、将来性などが審査されます。
業種
ファクタリング会社にとって売掛先の業種は信用度を図るうえでの重要な判断基準です。信用の評価には業種の将来性なども加味されます。また、ファクタリング会社によってはナイトワーク、ギャンブルなど一部の業種の債権を買い取り対象外としているケースもあります。
借り入れ状況
借入元や借入額、過去の返済履歴など、売掛先の借入状況も審査の対象になります。返済遅延や併催事故を起こしている場合、審査に響く可能性があります。
ファクタリングを利用する会社の信用度
2社間ファクタリングの場合、売掛先から支払われた売掛金がファクタリング利用会社を経由してファクタリング会社に支払われています。ファクタリング会社が資金繰りに困窮しているなど、状況によっては売掛金が回収できない場合もあるため、ファクタリング利用会社も審査対象になります。
経営状態
経営状態はファクタリング利用会社の信用度を判断する最もたるポイントです。経営状態を判断するため、一般的に、審査では2～3期分の決算書が求められます。売掛金回収までに倒産のリスクがあると判断されれば、審査を通過しにくくなる可能性は否定できません。
年商
ファクタリング利用会社の年商が大きい場合、それだけ多くの売掛債権を保有していることを意味します。ファクタリング利用会社にとっては、継続的な取引が期待できる要素です。そのため、通常は年商が大きければ審査を通過しやすくなります。
イメージ・評判
ファクタリング利用会社が展開している商品・サービスのイメージや評判も審査対象です。評判の良しあしはさほど審査に影響しませんが、法的な問題を起こす可能性が考えられる場合、過度にイメージが悪く倒産が考えられる場合は審査に落ちてしまうことがあります。
モラル
貸し倒れのリスクを判断するためには、経営者のモラルを知ることも重要です。このため、ファクタリングでは一般的にファクタリング利用会社の経営者を交えた面談審査が行われます。
売掛債権の実態・売掛金回収の確実性
ファクタリングの審査では、売掛債権そのものに関しても入念に調べられます。審査で確認されるのは主に、売掛金の回収リスクや売掛債権の実態です。
成因資料の充実度
契約書、発注所、請求書などは「成因資料」と呼ばれます。ファクタリング会社にとっては成因資料が多ければ多いほど債権の実態確認が容易になるため、審査に通過しやすくなります。反対に、資料に不備がある場合は審査に通過しにくくなるでしょう。
売掛先との取引履歴
ファクタリング会社と売掛先の関係性も重要な審査対象です。それまで継続取引している企業間の売掛債権が持ち込まれた場合、ファクタリング会社にとってはリスクが低いといえます。反対に初めての取引の場合、審査は慎重になるでしょう。
支払サイト
売掛先が売掛金を支払う期限を「支払サイト」といいます。月末締め翌月末支払いの場合、支払サイトは30日です。支払サイトが60日の場合、翌々月支払いとなります。支払サイトよりも早く資金調達できる方法として利用されるファクタリングですが、長い支払サイトが設定されている売掛債権はファクタリング会社にとってもリスキーです。下請法では、60日を超える支払サイトはそもそも違法になります。
まとめ
ファクタリング会社が審査で判断する最もたる事項は「期日までに売掛金が支払われるかどうか」。そのため、主に重視されるのは支払元である売掛先の信用度です。相談企業が赤字の場合は無条件で審査通過が難しくなる銀行融資などと比較すると、ファクタリングは比較的ハードルが低い資金調達方法といえます。今回ご紹介した審査ポイントのなかには心がけや工夫次第でクリアできるものもありますので、ファクタリングの審査を受ける際には意識してみてはいかがでしょうか。