ファクタリングの歴史をたどる
日本ではまだまだ目新しい印象があるファクタリングですが、海外では歴史の長いサービスです。こちらでは、ファクタリングがどういった起源で始まり、どういった歴史をたどってきたかをご紹介します。
起源は古代メソポタミア
ファクタリングの起源については諸説あるようです。一説には、紀元前3100年ごろの古代メソポタミア時代、メソポタミア南部の民族の間ではすでにファクタリングと似たような手続きが普及していたと伝えられています。
古代メソポタミアといえばまだ貨幣はなく、穀物などが通貨に相当するものとして流通していた時代です。もちろん、売掛債権という概念もありません。仕事の対価を見越して穀物などを受け取り、対価が支払われたら穀物で返すというかたちで、ファクタリングと似たような手続きが行われていました。また、この頃は契約のようなシビアさはなく口約束のようなものだったようです。
その後、紀元前1800年ごろにハムラビ法典が制定されると、利息のシステムも普及していきました。また、新バビロニア時代には、現在でいう銀行のような機関も登場しています。
資金調達法として活用され始めた14世紀イギリス
現在のファクタリングにつながる手続きが誕生したのは14世紀のイギリスだと考えられています。当時、イギリスでは売掛債権の買取を事業として行う「ファクター」という組織が活動していました。主に、医療品の商人や交易人が資金の調達用として利用していたそうです。このころはすでに現在のファクタリングと同様にノンリコースだったと伝えられています。また、取引先が逃げる事件が横行していた世相から、支払い保証としての側面も有していたようです。
世界中に広がっていった大航海時代
15世紀になると、コロンブスをはじめとする多数の探検家・航海者が世界各地の植民地開拓に乗り出します。これにともない、ファクタリングの考え方も世界中に広がっていきました。
特に、たばこ、綿、木材といった当時主流の輸出品を取り引きする際、前払いのために利用されることが多かったようです。また、銀行から発行された請求書を担保とするのが一般的でした。
特に、アメリカの植民地化を推進した要因のひとつは、ファクタリングだとする考え方もあるようです。その後も、ファクタリングは数世紀にわたって世界中の取り引きで用いられていきました。
18~19世紀のサービスの変遷
18世紀のファクタリングは主に、アメリカへの移住者向けに流通していた毛織物の売買手段として活用されていたようです。このころは、イギリスからアメリカに向けて、大量の毛織物が輸出されていました。
また、この時代のファクターは毛織物の販売代理店としても機能していたようです。現在でいう商社のような役割を担っていたと考えられています。さらに、19世紀に差し掛かると、売掛債権の早期資金化を目的とした現在のファクタリングが行われるようになっていきました。
現在のファクタリング会社が登場した20世紀初頭
20世紀に入ると、それまで産業の主流だった繊維産業が停滞し、それにともないファクターが担っていた商社的な役割が終了します。売掛債権の買取に特化した事業者が登場し始め、現在のファクタリングが台頭しました。「ファクタリング」という名称が一般的になり始めたのもこのころです。
特にアメリカの経済成長にはファクタリングが大きく貢献したと考えられています。また、ヨーロッパでもファクタリングが利用された例は少なくありません。
日本で普及している経緯
日本にファクタリングが本格的に伝わったのは、1970年代のことです。当時の国内取引では手形が中心的に利用されていました。こうした慣習や風土が根強かったこと、また、ファクタリングの仕組みが人々にわかりづらい印象を与えたことから、日本に伝わった当初は普及しなかったようです。企業の資金調達方法としては銀行融資などが依然として一般的でした。
その後、手形取引の衰退、ファクタリングに関する法整備の充実により、日本でも2000年ごろより徐々に普及していきました。もともと資金調達の方法としては優秀だったため、キャッシュフローに困窮した中小企業を中心に利用されています。一時期は悪徳なファクタリング会社による被害が相次いでいましたが、法律の充実、競争の激化により、直近の安全性は増しています。今後は、日本でもさらに一般的な資金調達方法として普及していく見込みです。
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いかがでしょうか。日本では「新興のサービス」という印象のあるファクタリングですが、海外では数百年前から洗練を続けてきたサービスです。日本では長らく法整備の問題が残っていましたが、近年は徐々に安全なサービスになってきているといえます。先入観にとらわれず利用することで、キャッシュフローが大幅に改善されるかもしれません。ぜひ優良な事業者を探し、ファクタリングを利用してみてください。