売掛金の回収遅れ!ファクタリング会社への支払いが遅れるとどうなる?

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一連のファクタリングのプロセスは、ファクタリング会社への支払いをもって終了します。ただし、売掛先への支払い遅れからファクタリング会社の返済ができないことも少なくありません。こちらでは、ファクタリングの支払い遅延が起きた場合の対応や防止対策についてお話しします。

ファクタリング会社への支払い遅延は起こりえる問題

ファクタリングを利用すると、売掛債権の売却額を受け取った後に、ファクタリング会社へと売掛金を支払わなければなりません。売掛金は通常、売掛先から支払われます。売掛金を前倒しで受け取るような形なので、ファクタリング会社への支払いが遅れるようなことはないと考える方が多いかもしれません。

しかし、実際は売掛先の都合で回収が遅れ、支払えない状況になることは珍しくありません。ファクタリング利用会社が資金繰りに困窮しているのと同じように、売掛先もキャッシュフローに余裕がなくなっている事態は十分に考えられるのです。少なくとも、売掛先から支払いの延期を打診されることは想定内と見ておくべきです。

売掛先が直接ファクタリング会社へと支払う3社間ファクタリングであれば、回収をファクタリング会社が担当するためこうした危惧は不要です。一方で、一度売掛先からの回収を経て2社間ファクタリングの場合は、こうした回収遅延を警戒する必要があります。

支払い先延ばしは可能?

上述したとおり、売掛金を回収できないことによる支払い遅延はファクタリングにおいて十分警戒すべき事態です。この場合、支払いの先延ばしなどは可能なのでしょうか? ファクタリングの支払いルールについてお話しします。

ファクタリングは「一括支払い」が原則

支払いが困難な場合、分割支払いを検討する方が多いのではないでしょうか。しかし、一般的なファクタリングでは一括支払いが原則です。契約時に、支払いの分割を認めているファクタリング会社はほとんどありません。

この背景にある最も大きな理由は、貸金業と明確に区別しなければならないためです。支払いの分割を認めた場合、実質的な貸金業に該当すると判断される可能性があります。

ファクタリング会社は「ファクタリングは貸金業とは違う」というスタンスのため、貸金業未登録の業者が大半です。さらに、貸金業法では禁止されている20%以上の手数料を設定しています。分割支払いを認めて貸金業とみなされると法律違反になってしまうリスクがあるため、原則として一括支払いしか認めることができません。

1ヶ月程度の遅延なら承諾するところも

ファクタリング会社にとっても売掛先都合による支払い遅延は想定内の事態です。そのため、ある程度であれば遅延を承諾する場合があります。対応はファクタリング会社によって異なりますが、1ヶ月程度の遅延であれば不問となるケースが多いでしょう。

売掛先から回収できない場合は、まずそのことをファクタリング会社に伝えてみましょう。ファクタリング会社との信頼関係によっては、負担が少なくなるように対応してくれるはずです。

売掛金回収遅延を防止するには?

仮に売掛金の支払いが滞った場合、自社への損害ばかりかファクタリング会社にも迷惑をかけることになります。遅延がなくなるよう、事前に対策を打っておきましょう。売掛金の保全と早期回収のための対策を紹介します。

「債務弁済契約書」で確実履行を求める

売掛先からの支払い遅延が起きた場合は、その事実を曖昧にせず、速やかに支払いを求めることが大切です。具体的には、「債務弁済契約書」によって確実な返済履行を求める必要があります。

「いくらの金額を」「いつまでに」弁済するのかの協議を売掛先と行い、契約書の形式で履行を約束させましょう。この協議を支払いの「リスケ」と呼びます。時間がかかったり、トラブルが起きたりする可能性があるため、リスケについては弁護士に相談して協議を進めるのがベターです。その際、売掛金の支払いが遅れた理由、過去数期分の確定申告や会計資料などの提出を求めるのが一般的です。

売掛金の回収管理はきっちりと

売掛金をしっかりと回収するためには、意識も重要です。

立場上、売掛先支払いの遅れを強く言えないこともあります。しかし、それで経営が傾いては本末転倒なので、毎月の請求はきっちりすることが大切です。

確かに、売掛先は顧客ではありますが、本来は対等なビジネスパートナーといえます。少しでも支払い遅延の兆候が見られた場合、毅然とした請求を行いましょう。常に回収管理をシビアに行っておくことが、ファクタリングの支払い遅延を防ぐための重要な対策です。

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実際にはノンリコースのファクタリングサービスも多く、売掛先起因の支払い遅延が利用会社にとって必ずリスクとなるわけではありません。ただし、以降ファクタリングが利用しにくくなってしまうため、当然ながら遅延がないほうが好ましいでしょう。今回ご紹介したような対策で遅延を防止し、万が一回収が遅れてしまった場合も慌てずに対処してください。