貿易リスクを回避できる国際ファクタリングとは?

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貿易ではさまざまなリスクがつきまといます。なかでも、代金の未回収リスクは回避しなければなりません。そうしたリスクを軽減できるのが国際ファクタリングです。こちらでは、国際ファクタリングの概要や利用の流れ、メリット・デメリットについてお伝えします。

国際ファクタリングとは

国際ファクタリングとは、貿易取引において利用されているファクタリングです。日本の企業間で行われているファクタリングとは異なります。主に、発注元である海外企業から代金(売掛金)を確実に回収するために行われる特殊なファクタリングです。

輸入者が輸出者に対して代金の支払いを確約する「信用状(L/C)」という書類がありますが、国際ファクタリングはあくまで売掛債権の売却手続きであり、明確に区別されます。

一般的なファクタリングは利用会社とファクタリング会社で行われる2社間ファクタリングか、売掛先を交えた3社間ファクタリングです。対して、国際ファクタリングは国内の利用会社とファクタリング会社、海外の輸入会社とファクタリング会社の4社間で執り行われます。

国際ファクタリングの仕組みと流れ国際ファクタリングの仕組みと流れ

上述したとおり、国際ファクタリングでは日本の輸出企業(ファクタリング利用者)、海外の輸入業者(支払企業)、日本国内のファクタリング会社、海外のファクタリング会社の4社が介在します。国際ファクタリングの流れは会社によって細かく異なりますが、以下では一般的な流れを5つのプロセスに分けてご紹介します。

1. バイヤー(海外の輸入企業)への確認

国内企業の一存で国際ファクタリングを利用することはできません。事前にバイヤー(海外の輸入企業)からの承認を得る必要があります。

2. 信用調査の依頼

一般的なファクタリングと同じように、国際ファクタリングでも信用調査が必要になります。調査の対象となるのはバイヤーです。利用会社から依頼を受けた国内のファクタリング会社が、さらに海外のファクタリング会社に信用保証引受を依頼します。

3. 信用調査実施

海外のファクタリング会社がバイヤーの信用調査を実施します。調査の結果から保証引受額が決まり、ファクタリング利用会社へと案内されます。

4. ファクタリングの申請

商品の船積完了後、インボイスとB/Lのコピーを国内ファクタリング会社へと提出します。この手続きにより、正式なファクタリングの申請となります。

5. 支払い

バイヤーより海外ファクタリング会社に支払いが行われ、その後、日本のファクタリング会社を通じ、ファクタリング利用会社に支払われます。

国際ファクタリングのメリット

日本の輸出企業側にとっての、国際ファクタリングのメリットをご紹介します。

ほぼ確実に輸出代金を回収できる

海外企業を相手取った輸出の場合、信頼性の問題から代金の回収リスクを懸念しなければなりません。国際ファクタリングを利用すれば、ほぼ確実に輸出代金を回収できます。回収リスクを気にせず、積極的に海外へのビジネス展開を進めることも可能です。ただし、係争(戦争・暴動)発生時など、カントリーリスクについては警戒しておく必要があります。こうした例外があることについては知っておきましょう。

取引先の与信管理強化につながる

安定した取引のためには、取引先の与信調査が必要です。通常は、与信管理を自社で行わなければなりません。国際ファクタリングを利用すると、ファクタリング会社にバイヤーの与信調査を依頼できます。

信用状(L/C)取引より効率的な決済が可能

信用状(L/C)でも国際ファクタリングとほぼ同じ効果が得られます。一方で、国際ファクタリングのほうが必須となる書類・手続きが少なく、効率的です。

国際ファクタリングのデメリット

上述したメリットの一方で、国際ファクタリングには以下のようなデメリットがあることも覚えておきましょう。

費用は輸出企業が負担する

国際ファクタリングは信用調査費、保証料、その他雑費など費用が発生します。これらの諸費用は、輸出企業の負担です。そのため、売上代金による利益が目減りしてしまいます。

バイヤーの承諾が必要

国際ファクタリングを利用するためには、バイヤーからの承諾が必要です。承諾がなければ、原則として国際ファクタリングを利用することはできません。事前にバイヤーとコミュニケーションをとる手間が発生します。

比較的大口の取引にしか利用できない

海外との取引が発生し、関連する事業者も多い関係上、国際ファクタリングの手続きは一般的なファクタリング以上に煩雑です。そのため、小口の取引では効率が良い手続きとはいえません。必然的に、比較的大口の取引のみに限定されます。

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国際ファクタリングの概要や、手続きの流れ、メリット・デメリットについてお伝えしました。海外企業を相手取った取引では、安心感につながるでしょう。上手く利用することで、ビジネスの規模を世界に広げていくことも可能です。市場が大きい事業を行っている場合は、国際ファクタリングの利用を検討してみてください。